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安芸氏滅亡の2年後、年号は変わり元亀2年(1571)、元親は津野氏をあえなく滅ぼす。そして三男の親忠を養子として送り込む。こうすることによって元親は、一条の情勢を素早く確実に得られるようになった。
情報を得ながら元親は少しずつ一条の領土を侵食し続けている。
一条の筆頭家臣で、智勇兼備の名将である土居宗珊という者がいる。
彼は元親の侵攻に遭い弱体化していく主家を必死に支え、一条の重臣にも一目置かれている存在であった。
ある日、兼定の素行にとうとう痺れを切らした宗珊が屋敷へと向かっていた。
「兼定様、そのような乱行を続けておられば、人民の心は離れ、滅亡を迎えるのみとなりますぞ」
「宗珊、そなた、まろに逆らうのか」
「そうではありません。ただ主家の為を思って・・・」
「誰かこやつを捕らえよ!反逆者じゃ。はやく、捕らえるのじゃ!」
兼定の言うことには誰も逆らえない。逆らえば殺される。それだけであった。
宗珊は捕らえられ、翌日、処刑された。
宗珊の死により一条は支えを失い、それと共に重臣の中にも兼定に対する不信感が生まれた。
元親はこれを期と見、重俊を呼んだ。
「土居宗珊が死んだ」
「・・・なんと!そうなれば一条をまとめれる者は居なくなりましたな」
「そうだ。これからは傍観するだけでも一条は滅んでいこう」
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