1ページ目🐱 君の瞳は満月に似て

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ピピピピ… 目覚まし時計の音が耳に届く。 早く起きろと急かす様に。 「ぅ、うぅ~ん…」 『あと五分だけ…。』と口で言わず、態度で示すように寝返りを打つ。 むに。 寝返りを打つと何かに当たったのか、柔らかくそして暖かい感触が肌を通して伝わる。 その柔らかさにもう少し触っていたい気持ちもある。だけど… 僕は一人暮らしだ。 生憎彼女と呼べる存在はいない。 じゃあ今僕が触れてるこの柔らかいものは何…? ゆっくりと目を開けると、そこには一匹の黒猫が気持ち良さそうな顔をして寝ていた。 「…よしよし」 親が子供をあやす様に頭にそっと手を乗せ、艶やかな毛並みを確かめるように撫でる。 この黒猫は…3日前に怪我をして道で横たわっていたのを、僕が見付けて拾ってきて手当てをした。 それから程無くして怪我も治り、今ではこの家を気に入ったらしく住みついている。 この猫の柔らかな温もりがとても心地いい…。時間が経つのも忘れてしまうくらいに…。 ガチャ!! 「朝だぞ~♪」 ノックも無しにドアを開けて入ってきた朝から元気なこの子は…  藍澤 夏帆。小さな頃から世話焼きな幼馴染みだ。
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