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可愛くて気が利く幼馴染みは羨ましい。と以前クラスメイトだった友人から言われたことがある。
でも、自分にとってはそんな風には感じられない。近すぎるからなのか…そういう感情は今まで感じたことはなかった。
「優夜…何してんの…?」
彼女はきょとんとした顔で尋ねてきた。無理もないこんな体勢でいれば言われて当たり前だ。
僕は寝ている猫を起こさないように抱き抱え、毛布を畳みその中に猫を入れ、ベッドをずらして空間を作り、見つからないように段ボール箱に隠し、上から布団を被せその上にシーツをかけた。
そしてベッドに新しいシーツをかけて意味なく綺麗に直してみる。そこを見られたワケだ。
「…お、おはよう。シーツ汚れてたから変えたんだ…それより夏帆さん今日も朝御飯…家で食べるの?」
ベッドの脇にある空間に気を向けさせまいと話をはぐらかしてみる。
「作って持ってきてくれるだけで、ありがたいと思ってもいいんじゃない…?」
横目でチラリと見られた。あぁ、そうですか…。感謝されたいと。
「夏帆さま、ありがとうございます」
僕は棒読み口調で頭を下げた。決して空気に負けたわけじゃない…。猫のことがバレた時の保険だと自分に言い聞かせた。
何故なら彼女は、この一人暮らししているアパートの管理人の娘だからだ。
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