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「うむ。苦しゅうない善きにはからえ」
たいして無い胸をはって、少し偉そうな口振りで言う。
それとココは僕の家なんですが…。と心の中で呟くだけにした。
わかってる。情けないとか気が弱いとか…軟弱者のレッテルを貼られるってことは。
この夏帆さんに出会ってから、ずっと続いてきたことですから…。
「…ねえ優夜、何か失礼なこと考えてない…?」
満面な笑顔に不釣り合いな握り拳を僕に向けて優しい声で言った。
僕はありえない殺気を感じて、無言で首を左右に振る。
首のところにバネがついたオモチャの様に、一心不乱に。それはもう首がもぎ取れそうな位に。
閻魔大王様の前に座らされて、罪状をつらつらと並べられ、止めの判決を待つ。多分きっと今も…それと同じくらいの緊張感でいないといけないのかもしれない。
冷や汗が全身を伝わるような、嫌気混じりの空気がまとわりついてくる。
「ペタンコとか、まな板って言うな!!」
言ってない!思っていても口には出していない。思うだけならまだ紳士として生きていける。
口に出して…ましてや、この危険人物に言うなんてこの世に別れを告げたようなものだ!
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