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彼はその当時、仏像の知識をほとんど持ち合せておらず、
「仁王」と表現しましたが、
後日写真集を見せて確認したところ、
明王部の中でも不動明王の立像に一番似ていたそうです。
初めての訪問だったので、馬場君に最寄りの駅前まで迎えに出てもらいました。
馬場君を駅で拾い、車中で「何事か」と問うと
「格安で二階家、いい物件だと思ったが、どうもオカシイ、
とにかく来て、見てから、意見を聞かしてくれ。」
といいます。
到着すると、そこは目の前を高速道路が走り、
雑木林に三方を囲まれた10戸ほどの分譲住宅の中にある一軒でした。
囲まれていない開いた方の、
道路に面した角にたっており、築10年位でした。
車を降りると、まず、私はその家に向けてカメラのシャッターをきりました。
梅雨の中休みといった気候で、蒸し暑い夜でした。
「はまったな」…その場に立った時の素直な感想でした。
その家の外見で気になった点を挙げてみましょう。
・全ての敷地内の雑草が外側へ向かって伸びている。
・敷地内の南西の角に3本の木(高さは2階の軒とほぼ同じ)がある。
・3本の内、南よりの1本は立ち枯れになっている。
・分譲住宅なので、周囲の家屋と同時期の築のはずだが、
それだけが傷みが大きい。
隣の住人が網戸ごしにこちらを覗いているのを気にかけながら、中へ。
「むさ苦しいところだが、まあはいってくれ。」
馬場君のさそいに、玄関へ一歩。
「く、くさい、何だ?」
…というのが内部を見た第一印象でした。
茅野君は開口一番、
「猫、飼ってるのかな?」
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