二十夜[おじゃま道草~1~]

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約束の正午に茅野君が現れ、 私たちは3人で馬場君宅へ向かいました。 私は、例の猫が気になっていたので、途中、 鰹節のパックを買っていきました。 馬場君宅へ着くと、ちょうどバンドの練習中でした。 すぐに終わると言うので、待つ間に建物の周囲を調べることにしました。 林が切り開かれ、宅地として分譲された場所のようでは在りましたが… 近くには古そうな農家が点在しています。 「わざわざ木を切らなくても、農地があるのになぁ」 私はだんだん土地の成り立ちが気になり出しました。 そして、しばらく歩き回るうち、 「ん?水の気配がする…池か井戸か…」 溜まった水のようです。 場所は限定できませんが、どこかにあったと思われます。 そのうち、馬場君宅が静かになり、女の子(船井さん)が呼びに出てきました。 中へ入ると、まず、使わない皿を2つ貸してもらい、 1つには水を入れ、もう1つには鰹節をのせました。 猫の気配がもっとも多い階段の下に、それらを置きました。 そして、しゃがんで手を合わせると、 「ここにとどまるな、去りなさい……」と念じました。 それから5分位後でしょうか…練習室でお茶を飲んでいると、廊下の方から、「ニャン」という鳴き声がしました。 「また、猫がはいってきたか?鰹節狙ってるんだろう。」 馬場君が立ち上がって、廊下を覗きました。 「ありゃ、いない。今、鳴いたよなぁ…」
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