逃走

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―――寒いな…。 マフラーしてて良かった。 「ねぇ、空良ってば!!!」 「離せ、一樹!」 腕を絡めようとしてくる一樹を押しやっていると、後ろから足音。 振り向くとそこには、愛しの恋人の姿。 もともと大きな目を、もっと真ん丸にしてびっくりした顔。 不謹慎にも、可愛いと思ってしまった俺はもう末期なのかもしれない…。 「翔」 声をかけると、ビクッと体を揺らす翔。 ―――どうしたんだ? 心配になって近づくと、一樹に腕をとられた。 「空良。ソイツ誰…?」 「翔は俺の…「あっ☆友達でしょ?♪」 ―――はっ? 一樹は何を言ってるんだ? 勝手に話を進めていく従兄弟を唖然としたまま見つめる。 一樹は俺から離れて翔の前まで行くと、信じられないことを口にした。 『空良の恋人の片桐 一樹です♪』 .
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