五話

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「ただいまハクア」 「おっかえりー! ハクアさんはおかげさまで、もうすっかり目が覚めたよ!」 「よかったね」 テンションの高いハクアの言葉を、いつも通りに軽く流す。 何事もなかったように、クロアは普通だった。普通を装ったつもりでいたが、ハクアはクロアをじっと見ている。 「ねえクロア、何かあった?」 「何も無いよ」 双子だからこそ分かる、些細な違いでもあるのだろうか。ハクアは何かがあったのだと感じた。 だがクロアは何も無いと答えたので、ハクアはすぐに話題を変えた。クロアが何も無いというのなら、それは聞く必要の無いということで、ハクアはすぐに話題を変えた。 「あ、そうだ。力の使い方なんとなく分かったよ。なんか、心ん中で《浮かべ》!!って思うと浮かぶんだよ!! まあ、さっきから上手くいかなくて、天井に何度も頭ぶつけまくってるんだけどさぁ……」 痛そうに、ハクアは自分の頭をさすった。よく見ると、少々涙目である。 「正確なイメージが必要なんじゃない?」 「せーかくですか」 「例えばどの辺りで、どんな風に浮かんでるか、とか」 「なるほど!」 「多分、慣れればそんな細かいイメージも必要無くなると思うし……ハクアなら出来るよ」 そう言ってクロアはハクアの頭に、右手を置いて撫で始めた。ハクアは嬉しそうに笑った。 その手には、ハクアとは違う模様の、入れ墨のようなモノが描かれていた。
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