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少女「何するんですか!?痛いじゃないですか!」
巧と同い年くらいの少女がしゃがんで居た。
うっすら涙目になりながら、巧に訴える。
タクミ「…わざとじゃない。たまたま当たっただけだろ?」
少女「だからって、本当に痛かったんですから!謝って下さい!!」
怒りを訴える度に、肩より長いチョコレートのような色の髪が揺れる。
頭を抱えているのは、おそらく
そこに全力の巧のボールが
クリーンヒットし、コブが出来ているからなのだろう。
巧はろくに相手せず、軽くあしらう。
少女「ヒドイです!あなた―――…」
少女は顔を上げ、やっとしっかりと巧を見た。
その途端、一瞬にして言葉が途切れた。
ポカンと口をわずかに開けながら、目が大きく見開かれる。
タクミ「?…なんだよ」
巧は疑問に思いながら問いかける。
少女の口がわずかに動く。
少女「―――は……タ……」
のどが渇いているような、掠れた言葉。
少女「――原田 巧……!」
確かに彼女は小さくもはっきり言った。
目の前の彼の名前を―――………
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