100人が本棚に入れています
本棚に追加
少女「さっきも言ったけど、……私は原田君の投げる球に一目惚れした。……感動したんだよ」
―――綺麗で無駄のないフォーム
速くてキレの良い変化球
投手としてじゃなく
打者としても完璧なまでの打率
落ち着いた試合運び
少女「いつだって鮮明に覚えているわ」
タクミ「――――…!!」
巧はこれでもかと言うくらい、目一杯目を見開いた。
驚きの先には、目の前の少女。
彼女は優しく微笑み、巧を優しく見つめた。
巧は何も声にならなかった。
ただただ、“自分を判っている”彼女に驚くだけだった。
そしてどちらからともなく、また歩き出した。
自然と話題を変え、少女から会話が切り出される。
少女「原田君の球ってのびるんでしょ?」
タクミ「……打者の手元でか?」
少女「うん。あの球低めにくると、相当なバッターでもつまるんでしょ?」
タクミ「無理に打ちにいけばな」
自信あり気に言う巧に、彼女はちょっと驚く。
少女「いかなければ?」
タクミ「三振」
少女「へぇー…」
自然と会話ができている。
巧が女子と話しているなんて知ったら、誰もが驚くだろう。
最初のコメントを投稿しよう!