第1話 桜の雪

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少女「さっきも言ったけど、……私は原田君の投げる球に一目惚れした。……感動したんだよ」 ―――綺麗で無駄のないフォーム 速くてキレの良い変化球 投手としてじゃなく 打者としても完璧なまでの打率 落ち着いた試合運び 少女「いつだって鮮明に覚えているわ」 タクミ「――――…!!」 巧はこれでもかと言うくらい、目一杯目を見開いた。 驚きの先には、目の前の少女。 彼女は優しく微笑み、巧を優しく見つめた。 巧は何も声にならなかった。 ただただ、“自分を判っている”彼女に驚くだけだった。 そしてどちらからともなく、また歩き出した。 自然と話題を変え、少女から会話が切り出される。 少女「原田君の球ってのびるんでしょ?」 タクミ「……打者の手元でか?」 少女「うん。あの球低めにくると、相当なバッターでもつまるんでしょ?」 タクミ「無理に打ちにいけばな」 自信あり気に言う巧に、彼女はちょっと驚く。 少女「いかなければ?」 タクミ「三振」 少女「へぇー…」 自然と会話ができている。 巧が女子と話しているなんて知ったら、誰もが驚くだろう。  
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