100人が本棚に入れています
本棚に追加
少女「やっぱりそうなの?」
少女が巧に質問し返した。
巧はバッと顔を上げ少女を見る。
少女「私もね、シンカーかなぁって思ったの。でも井岡のおじいさん、“シンカーじゃない”って言い張るの。
しっかり解説もされたからね、そうなのかな?と思って」
タクミ「………!」
巧は黙ったまま視界に彼女を映し、目を見開く。
―――同じこと思ったんだ…
少女「まあ、実際に私野球やったこと無いから、よくわかんないけどね……」
そう言って少女は照れ臭そうに頬を掻いた。
巧も本当にシンカーだったかわからない。
井岡洋三の言うように、シンカーじゃないのかも知れない。
だが
『やっぱりそうなの?』
―――俺の考えは間違っていない
巧にはそれだけで良かった。
自分の考えを肯定してくれる他人(ヒト)が居れば、それだけで良かった。
少女「ねえ、原田君!球投げてよ、明日」
タクミ「あぁ?」
突拍子もなく少女は両手を合わせて懇願している。
巧は呆れたように、少女をまじまじと見る。
少女「原田君の球、中学入学までなんて待てない!早く見たいの……!!」
最初のコメントを投稿しよう!