第1話 桜の雪

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少女「やっぱりそうなの?」 少女が巧に質問し返した。 巧はバッと顔を上げ少女を見る。 少女「私もね、シンカーかなぁって思ったの。でも井岡のおじいさん、“シンカーじゃない”って言い張るの。 しっかり解説もされたからね、そうなのかな?と思って」 タクミ「………!」 巧は黙ったまま視界に彼女を映し、目を見開く。 ―――同じこと思ったんだ… 少女「まあ、実際に私野球やったこと無いから、よくわかんないけどね……」 そう言って少女は照れ臭そうに頬を掻いた。 巧も本当にシンカーだったかわからない。 井岡洋三の言うように、シンカーじゃないのかも知れない。 だが   『やっぱりそうなの?』 ―――俺の考えは間違っていない 巧にはそれだけで良かった。 自分の考えを肯定してくれる他人(ヒト)が居れば、それだけで良かった。 少女「ねえ、原田君!球投げてよ、明日」 タクミ「あぁ?」 突拍子もなく少女は両手を合わせて懇願している。 巧は呆れたように、少女をまじまじと見る。 少女「原田君の球、中学入学までなんて待てない!早く見たいの……!!」  
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