第1話 桜の雪

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タクミ「中学だって、高校でだって通用する!」 ――他のヤツが投げられて、俺が投げられないなんて――…!! タクミ「試合とかで使うつもりはない。直球だけで充分なのはわかってる。 ただ、投げれるようになりたいんだ!」 ――自分の能力が上がった感覚だけで良い…! 洋三「※おえん」  (※岡山県の方言。「だめ」  の意味) そう言って、洋三は巧の顎下から頬を掴んで引き寄せた。 洋三「今ええ加減な変化球を身につけるより、やることがあるはずじゃ。もっと遠くを見いや」 洋三は険しい表情で巧に語りかける。 洋三「野球はのう、おまえが思うてる以上に、ずっとでっかいんじゃ」 言い終わると手を離し、家に入っていった。 巧は悔しさと不甲斐なさに歯ぎしりをした。 ――そんなことくらいわかってるさ 変化球は肘に負担がかかることくらい まだ成長段階だ。身体が出来上がってないことだってわかってる ――だからって俺の力をみくびるなよ! 俺はじいちゃんが思っている程ガキじゃない  
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