第1話 桜の雪

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―――誰だって構わないから―――…!! 振りおろした右手からボールが放たれる。 それと同時に帽子が頭から落ちる。 ボールはスピードに乗り、真っ直ぐな白い線を描いていく。 狙いを定めるワケもなく放ったボールは、神社の右側の林の中に迷い込む。 「ぃったああぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!?」 ボールが迷い込んだ林の中から、突如大きな悲鳴のような、叫び声が聞こえた。 タクミ「!!?」 巧は肩をビクッと反応させ、悲鳴の聞こえた林に向かう。 そこにはちょうど人一人通れる階段の小道があった。 タクミ「?…こんな所に……」 不思議に思いながらも、階段をゆっくり降りはじめる。 降りると池のある、広い雑木林に出た。 ここはまた一段と薄暗い。 都会育ちの巧にとって、そこは見たことない樹、池、樹だけの世界。 タクミ「こんな所に池がある…」 ?「―――ちょっと!!」 雑木林の光景に見入っていると、脇から甲高い不機嫌さを帯びた声が飛び込んだ。 その声で“女”だというのは気づいた巧。  
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