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―――誰だって構わないから―――…!!
振りおろした右手からボールが放たれる。
それと同時に帽子が頭から落ちる。
ボールはスピードに乗り、真っ直ぐな白い線を描いていく。
狙いを定めるワケもなく放ったボールは、神社の右側の林の中に迷い込む。
「ぃったああぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!?」
ボールが迷い込んだ林の中から、突如大きな悲鳴のような、叫び声が聞こえた。
タクミ「!!?」
巧は肩をビクッと反応させ、悲鳴の聞こえた林に向かう。
そこにはちょうど人一人通れる階段の小道があった。
タクミ「?…こんな所に……」
不思議に思いながらも、階段をゆっくり降りはじめる。
降りると池のある、広い雑木林に出た。
ここはまた一段と薄暗い。
都会育ちの巧にとって、そこは見たことない樹、池、樹だけの世界。
タクミ「こんな所に池がある…」
?「―――ちょっと!!」
雑木林の光景に見入っていると、脇から甲高い不機嫌さを帯びた声が飛び込んだ。
その声で“女”だというのは気づいた巧。
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