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自覚 ~曇り空~
授業も終わり、皆帰った放課後の教室。珍しく頼子と二人で香保里は話していた。外では日が落ち始めていて寒そうだったが、さすが私立。暖房がついた教室の中、二人の会話は止むことが無かった。
「あ、宿題やってない」
思い出したかのように香保里が言う。
「誰の?」
「津田先生ー。プリントあったのに。怒られるの嫌だな」
「あーあ。俺譲さんのだけは忘れないもんねー」
「だけ、でしょう? ……もう、片山に見せて貰おうかな」
楽しそうに笑う頼子に、香保里は頭を抱えた。香保里が怨みがましそうに頼子を睨む。
「あれ? 俺はあてにしないわけ?」
「見せてくれないじゃないの」
「まぁね」
香保里が頼んだところで頼子が見せてくれないなんてわかりきったこと。これはいつものお約束の会話だ。
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