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『……マジですか』
電話の向こうで固まった沙奈が見えるようだ。
「ウソついてどうするの」
『え、相手は? うちも知ってる人?』
「知ってる人。…………片山、なの」
電話の奥でピシリと音がした。
『ほわい?』
「whyじゃなくてwhatかwhoだと思うけど……。同じクラスの、片山」
『うわ、スッゴク意外。青春だねぇ』
沙奈は電話の奥で確実ににやついているだろう。からかうような声に香保里は真っ赤になった。
「もう! からかわないでよぉ。頼子にも散々からかわれたんだから」
『あはは、ごめんごめん』
「沙奈のいぢわる。……んとね、夕方頼子に言われただけだから、まだ絶対じゃないんだけど……」
むぅ、と膨れた頬を元に戻し、香保里は不安そうな声を出した。少し間を開けて沙奈が話す。
『んー、うちにはよく分からないんだけどさ、それも切っ掛けの一つなんじゃない? こう……思ってるうちに好きに~とか。マンガからの受け売りだけどさ』
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