自覚 ~曇りのち晴れ~

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   沙奈だって大した経験があるわけではない。むしろ経験なんてマイナスだ。  親友にアドバイスしたいのは山々だが、出来るのはせいぜいマンガの知識くらいだった。  だが、そのアドバイスは香保里にとって的確な言葉となった。   「そう、かなぁ……。そうだよね」   『大したアドバンス出来なくてごめんね』   「ううん、スッゴい気が楽になった」   『そ? 良かった』   「ありがとう、沙奈」   『友達が悩んでたら励ますのが当然さ。じゃね~』   「ん、じゃあまた明日ね」    ピッと電話を切る。携帯を閉じ、枕を抱える香保里の顔はすっきりとしていた。   (まだゆっくり考えてもいいのかな)        今日の天気は曇りのち晴れ。  明日の天気は……?      
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