00 「神」の記憶

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そんな二人の脇を抜けて賢斗と景子は家に上がっていった。 「あら大花、お帰り。叔母さん達来たわよ」 「うん。こんにちは」 「こんにちは大花ちゃん」 私が二階への階段を上りきるまで、姉妹は口喧嘩を続けていた。 何だかその様子がとても懐かしくて新鮮な気がした。 年に何回かは見ているハズなのに。 「あ! いた! お姉ちゃん!」 「おう景子。元気してたか?」 廊下で飛び付いてきた景子を抱き止め、頭を撫でてやる。 「何だよ。いないと思ったら、今帰ったのか」 私の部屋から賢斗が顔を出した。 「アンタは相当暇そうだね」 「いやあ、最近金がピンチでさぁ。叔母さんから小遣いもらえたらなーって…」 頭をかきながら賢斗は呟いた。 「ねえ、遊ぼっ! 遊ぼーお姉ちゃん!」 「わかったから…とりあえず部屋に入れてくれ」 くっついたまま離れない景子に溜め息をついて、やっと部屋に入った。 その夜、麻美から電話があった。 明日、朝から遊びに来いという内容。 特に用事は無かったから了承した。 「なんと! 恵美が歩けるようになりました!」 「へぇ」 木下家。姉妹は以上に盛り上がっていた。 「何? 何か元気なくない?」
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