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気付けば、いつの間にか昼休みになっていた。
今はとりあえず麻美と机を合わせる。
「あれ? 大花、弁当?」
麻美が大花の小さな風呂敷をまじまじと見つめる。
「……アンタの手作り?」
「…そうだけど、そういうアンタは?」
丁寧に結び目をほどく大花をよそに、麻美は一人感心していた。
「アンタ…見かけに寄らず器用ね…。私は行き着けのコンビニで」
麻美が鞄から引っ張り出した二つのパンを見て、大花は溜め息をついた。
「しょうがないだろ…作ってくれる人がいないんだから当然だ。それよか…私はアンタの方がよっぽど器用に見えるけど?」
かけられた黒縁の眼鏡を見ながら言って、大花は卵焼きを頬張る。
「ああ、ぜーんぜんよ私なんか。中学の家庭科の調理実習では役立たずな女だったし」
大袈裟に手を振って否定する。
大花は「あっそ」と呟いて、おかずの鮭を口に放り込んだ。
「何よ……アンタ、やっぱり話せば話す程冷たい奴よね」
しばらく大花の顔を麻美の目が睨み付けた。
「自覚してる」
鞄から水筒を取り出して蓋を開ける。その時だった。
「うおおおおお!!!」
いきなり教室に、何かが突っ込んできた。
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