2 矛盾

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「な…何アレ」 「…さあ」 驚いている麻美とは正反対。大花はあくまで冷静にご飯を口に運ぶ。 しかし、気のせいかその何かが、真っ直ぐ大花の方に歩み寄ってくる。 「神永大花さん」 この騒ぎの張本人が、二人の机の前で足を止める。 「…何」 見ると、意外に整った顔をした男子だった。彼は深呼吸をし、そして、 「オレと! 付き合って下さい!!」 「いや」 約一秒。大花は速攻で断った。 「……えっ?」 「いや」 わざわざ同じ口調で言い直す。 「…これ、お土産です…どうぞ」 彼は弱々しくパンを差し出す。値札を覗くと結構高めだった。 「ありがと」 軽く礼を言ってそれを受け取る。それきり大花は目を合わさない。 「…うう、邪魔して…悪かったね…」 「うん」 一秒足らずで言い放った。 「わああああああ……」 泣きながら去っていった…と思ったら引きずられて戻ってきた。 「放せっ!! オレは失恋したんだ! いっそ殺してくれ良太ー!!」 「馬鹿言うなよ…お前は友達に人殺しさせる気か? ていうか失恋で死ぬなよ」 彼の耳を引っ張って現れたのは良太だった。
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