2 矛盾

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「…ただいま」 玄関のドアを静かに開ける。 「…おや大花ちゃん、お帰り。しっかり勉強してきたかい?」 今回は入ってすぐにおばあちゃんに見つかった。相変わらずの弱々しい声で尋ねてくる。 「うん…まあまあ」 軽く返答して鞄を置き、洗面所に向かう。 「大花ちゃん、勉強も出来る子だからね…おばあちゃん、よくわかってるよ」 「…はは」 感情がこもらない笑いで返す。 大花はしっかりうがい手洗いを済ませて、おばあちゃんの前に戻ってきた。 「…何だい? 今日は楽しいことあったのかい?」 おばあちゃんが大花を見つめて尋ねる。 「えっ? …あ、いや…取り立てては」 とりあえず曖昧に返しておく。 今日あったことと言えば……朝から不機嫌だった気がする。 「えっと…男友達が出来た」 それ程喜ばしいことには思えなかったが、一応報告しておく。 「ありゃ! …もしかして、ボーイフレンドかい?」 思わず机に頭をぶつけそうになる。 「…んなワケないでしょ…」 「ふふ…そうかい」 おばあちゃんが優しく微笑む。 まじまじと顔を見ると、昨日より確実に生命力が薄れているように感じる。 もうすぐ…一人きりの生活が始まる。そんな予感がしてしまった。
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