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「じゃあここ…そうだな、神永、答えてみろ」
「…aもbも2です」
クラスから小さな歓声がわく。他の生徒が何人か詰まった後、大花が難なく答えてしまったからだ。
「お、なかなか出来るな神永。そう、ここは…」
先生が続いて解説を始める。
その様子をボーっと眺めていると、後ろから肩を叩かれた。
「ちょっとアンタ、教えられたばかりなのに何であんなあっさり出来ちゃうワケ?」
麻美はどこか悔しげに囁いた。
「…そうか? わかれば簡単だぞ、アレ」
特に振り向かずに答える。
「アンタ…頭いい?」
「自信あるのは数学と英語ぐらいだよ…他はてんでダメ」
深く溜め息を吐いて時計を見る。
後三十分もこんな退屈な授業を聞かなくてはならない。
そう思うと、不思議とやる気が削がれる。
ふと周囲を見回すと、偶然良太と目が合った。
特に表情を作るでもなく見つめる。
…その視線、その表情に違和感を感じた。
「昼飯!! 食おうぜ!!」
良太を引っ張ってきた快晴が、コンビニ弁当を突きつけてきた。
「…別にいいけど…」
少し押され気味に返事をする。
「よし! 隣の席借りよ。ほら、突っ立ってんなよ良太!」
「お前…行動力ありすぎ…。神永達が迷惑じゃなきゃ甘えるよ」
快晴の手を振り払って控えめに尋ねる。
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