15人が本棚に入れています
本棚に追加
「いいって言ってるだろ…座るなら座れば」
大花は既に弁当を食べ始めていた。
「なら遠慮なく」
良太もどこかから椅子を引っ張ってきた。
「……」
当然のように、しばらく空気が沈黙する。
重い空気に耐えかね、最初に快晴が口を開く。
「…あの、さ、何か会話しようぜ」
「そ、そうね…んじゃここはベタに、入りたい部活で盛り上がろうか」
麻美もそれに乗っていく。
「僕は…そうだな、テニスぐらいが妥当かな。楽しそうだし」
良太が自然な笑顔で答える。
「オレは当然野球だ! 春休みから仮入部になってるし」
快晴が自信ありげに言う。
「んー、私は吹奏楽…うーん、美術もいいなあ…。大花はどう?」
ある程度悩んだ後、麻美は大花に尋ねた。
「別に…考えてないけど」
空気が一瞬凍った気がする…
「な…何だよ、いいじゃん、興味ないんだから」
「はあ……アンタ、つまんない女だわ」
麻美が長く深い溜め息を吐いた。
「うるさいなあ…強制じゃないんだからいいだろ」
昼休み中続くこの微妙な会話を、良太は無表情で見守っていた。
さっきまでの良太ではないような表情で。
最初のコメントを投稿しよう!