15人が本棚に入れています
本棚に追加
「おっはよう、大花!」
「ああ、麻美か…おはよう」
大花は眠そうに呟いた。直後にあくびをかます。
「何よ、そんな眠そうに…しっかり寝てんの?」
お構いなしに背中をバンバン叩く。大花は小さく「いて」と唸って前のめりになった。
「そういうアンタは、何で朝っぱらからそんな元気なんだ」
少し機嫌を悪くして、また歩き出す。
「いやあ…まあ、そりゃいろいろあるわよぉ…」
不気味な程の含み笑いを浮かべる。
大花は麻美から目を背けて歩き出した。
「何なのよ…相変わらず辛気くさい奴…」
最後に悪態をついて、黙ってついて来た。
「よし、次…天宮! ここの『ぬ』の文法的意味を答えろ。基本だぞ」
古典の授業。先生は次々に生徒を指していき、快晴が当たった。
「はあ? 何すかそれ…文法的ってどういう…」
快晴が逆に質問を返す。
快晴は見た目からして勉強が出来る奴には見えなかった。
「もういい…復習はしておかないと、これからどんどん置いてかれるぞ」
先生は聞くのを諦めて一人で解説を始めた。
当の本人は笑顔で周囲と会話していた。
大花はそれを複雑な表情で見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!