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いつもと何も変わらない日常。
もう秋は目の前だ。
何もおかしいことはないハズなのに、何かが引っかかっていた。
何かが上手く行き過ぎていて、決定的な何かが足りない。
携帯電話が鳴った。
夏休みが始まってすぐに両親に買ってもらった…のだろうか、記憶が危うい。
持っていることすら忘れていた。
携帯電話を手に取り、開く。メールだ。
送信者を確認して、私は目を疑う。
『カミナガ タイカ』
不気味だ。
私は携帯電話を持っていることすら忘れていた。
自分で自分に送った覚えもない。
一体誰の悪戯だろう。
私は一瞬迷って、思い切ってメールを開いた。
『タスケテ
ニセモノノ ワタシ
タスケテ
シアワセナ セカイノ ワタシ
ワタシニモ シアワセヲ ワケテ
ワタシハ フコウヲ ワケテアゲル
アナタノ セカイハ ニセモノ
ホントウノ セカイニハ ダレモ イナイ
タスケテ
カミノ ジュバクカラ ワタシヲ スクッテ』
「…う」
携帯電話を閉じた。
不気味過ぎる。
これは本当にメールなのだろうか。
私は忘れようと、勢いよく布団をかぶった。
久しぶりに楽しい夢を見た。
幸せな日々は続いていくだろう。これからもきっと。
そう思えた。
………
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