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「さて、今日はどんな話題がいい?」
良太と二人で座ったのを確認して、快晴が切り出した。
「今日はそれぞれの家族構成なんかどう?」
麻美の明るい声を聞いて、大花の箸は止まった。
…家族?
「つっても、私が紹介したいだけなんだけどね」
「まあ、いいんじゃん? じゃあ良太から」
快晴がいきなり良太に振った。
「悪い。黙秘だ」
柔らかい笑顔で言い切った。
「ちぇっ、何だよソレ。つまんねぇ」
言いながら、快晴は食べ進める。
「じゃあ次私! 私はねー、五人家族」
指をパーに広げて麻美は続ける。
「私と、妹三人と、お父さん」
順に指を折っていく。
「え? お母さんは?」
快晴がすかさず尋ねる。嫌なことを聞く奴だ。
「やーね、察してよ。でさ、この妹達がもう可愛くてさ…」
しばらく麻美の妹の話題が続く。
どうやら、麻美の朝の元気は妹とのやりとりが理由の一つらしい。
「次はオレ! オレも五人家族だ」
快晴も同じく手をパーにする。
「オレと兄貴、親父に母ちゃんに…じいちゃん」
指を順に折っていく中、最後の一本が躊躇われた。よほど強烈なじいさんなんだろうか。
「はい、最後は大花だよ」
麻美の言葉に、大花の箸は再び止まった。
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