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『ただいまー。今日も疲れたぁ』
父が帰ってきた。
『お帰りお父さん! ねえ、これ見て!』
父が居間に入ってくるなり、私はテストを持って寄っていった。
『…ん? おおっ! すごいな、よく頑張ったな大花』
父は私がいいことをすると、必ず頭を優しく撫でてくれた。
『どう? 今度の休みに三人で遊園地に行くっていうのは』
母が父に提案した。
『そうだな…それはいい!』
父は少し考えて、はっきりと頷いた。
今日は金曜日。ということは明後日が遊園地。
私はその日、興奮して寝付けなかった。
土曜日。
朝から父は車で仕事に出掛けた。なので、今は母と二人だ。
『さーて、材料も無くなってきたし、買い物行きますか。大花は家で大人しく待てる?』
家事を一通り終えた母が、私に告げた。
『……うん。待ってる』
少し考えた後、私はしぶしぶ答えた。
『じゃ、待っててね』
それからしばらくして、母は家を出た。
『遅いなぁ…』
夕方になった。母はまだ帰ってこない。
この時は、もうすぐ帰ってくるって思い続けていた。
夜の八時を回った。父も、母すら帰ってこない。
『何で…何で? お父さん、お母さん…』
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