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「神」。
「神」は産み落とす。新たな生命を、空から地上に。
そして「神」は世界を、人間を見下ろす。
見守るように、ではない。まるで檻の中の生き物を監視するように。
古い書物の一節にある「神」の定義。
「神」は全ての人間を監視している。
「神」は道理を外れた人間に天罰を下す。
「神」はそれ故に絶対的な力を持つ。
「神」を冒涜した者、「神」に仇なった者の末路。それは容易に想像出来る。
「神」はこの世界を空から束ねている。
「神」は絶対の存在。
………
校長の挨拶やら何やらで、長ったらしい入学式が終わり、再び教室の中。
相変わらず微妙な空気が混じり合う教室の中で、大花はやはり一人の男子を見つめていた。
さっき心に思ったことを決め付けるのは早い。何故なら、まだ名前もわからない。
自ら率先して事情を聞き出しても良かったのだが、大花は自分から動くタイプではない(自覚している)。
どうせこの後担任教師が来て、自己紹介でも何でもやらせるだろう。入学初日の定番だ。
大花はじっと機会を待つことにした。
「ねえ」
突然背後から左肩を掴まれた。思わず体がビクッと反応してしまう。
振り返ると一人の女子が立っていた。
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