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「ホームルーム始めるぞ、全員席につけ!」
教室の中が一気に静まり返る。
初めだからか、不良に見える奴らも全員が大人しく席に座る。
「とりあえず最初は出席を取るぞ。天宮!」
はい、と小さく不安げな返事が次々聞こえる。
そして六番目ぐらいか。あの男子の番が来た。
「えー、神田良太(りょうた)」
「はい」
その名前と返事を聞いた瞬間、大花は目を見開いて男子、神田良太を見つめた。
…間違いない…でも、何で…どうして…
「ねえ、大花? …どうかした?」
我に返る。後ろからは麻美の心配そうな声が聞こえた。
「…何? あの男子がどうかした?」
「…いや、何でもない」
大花は振り向きもせず答えた。そしてまた考えに耽る。
その後もホームルームは続いたが、大花の頭の中には担任の話が一つも残っていなかった。
ただ、ずっと神田良太のことが渦巻いていた。
「よし、今日は二組は解散! 明日からは授業だ、きちんと準備をしておけよ」
挨拶を残して担任が教室を去っていった。
やっと落ち着いて良太のことを聞き出せる。
大花は立ち上がって鞄を抱え、教室内を見回して神田良太を探した。
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