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母方の実家、いわゆるおばあちゃん家に帰ってまた大花は考え始めた。
どうしても納得がいかない。どうしようもない葛藤が頭に渦巻いて落ち着かない。
とりあえず明日の準備をする。
「お帰り大花ちゃん。帰ったならおばあちゃんに声かけてくれたらいいのに…」
後ろからいつの間にかおばあちゃんが覗き込んでいた。
「…あ、ゴメンおばあちゃん。ただいま」
とりあえず挨拶を返し、配られたプリントを一枚一枚見ていく。
「大花ちゃんも大変だよねぇ…あんなことがあって辛いだろうに」
おばあちゃんはいつもこう言う。今のところ私の境遇を知るのはおばあちゃんだけだ。
「…ううん、もう慣れた。去年までずっとおばあちゃんと二人きりだったし…」
おばあちゃんには中学に入る前の、春休みからお世話になっている。
最初の一年は家事を丁寧に教えてもらいながら手伝い、二年目からは一人で大抵のことは出来るようになった。
それが出来なきゃダメだと子供なりに悟ったからだ。
おばあちゃんは日に日に体が弱くなっていく。孫の目から見ても、もう長くないことはわかった。今は昼に病院に通院しているらしい。
おばあちゃんが一人になったら…私は一人になる。
誰も…助けてくれる人はいなくなる…
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