-君ニ狂ウ-

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「嫌い。王なんか嫌い」 兎輪は真っ直ぐに王の瞳を捕らえる。 王の様子は変わらなかった。 ように見えた。 一斉に重い音を奏で、擦れる鎖。 足を引っ張られ、一瞬にして兎輪の視界は天井へと変わっていた。 「兎輪、俺だってこんな乱暴はしたくない。 でも兎輪がいけない、俺を試すような事言うから……。 俺は兎輪を愛してるし、兎輪は俺を愛してる。 だから兎輪がそんな事言っても、俺は感情に任せて兎輪と別れたりしないから安心して」 「……っ!!」 ――王が一番安心できないのよ……!! 視界は王で覆いつくされ、兎輪はベッドに組み敷かれる体制になる。 そして、王の言葉が頭のなかで繰り返される。 『こんな乱暴はしたくない』 まるでこの先にする事を予兆させる言葉。 背筋が凍るとはまさにこの事だと兎輪は実感する。 がむしゃらに足に着いた鎖を外そうと試みる。 頭で考えてから行動しても、何も変わらない事を知っているからこうするしかなかったのだ。 「兎輪愛してる。 これからはずっと俺が傍にいるから……」 首筋にされた口付けに不快感が込み上げる。 両腕を掴まれ、鎖を外す事はできなくなった。 ――諦める? ――もう誰も助けに来ない。 ――無駄に足掻いて痛い思いをするなら…… 貴方の求める『兎輪』を演じようか? 痛い思いは嫌。 そんなに私が好きなら愛でて、私を飼い殺して。 そしたら私は貴方の望む、『兎輪』になれる気がするの。 「……王」 「どうした?」 兎輪の首筋から視線だけを向ける王。 もう抵抗をしなくなった両腕は自由に動かせた。 ゆっくりとした動きは最後の抵抗。 しかし、時間の制限のないこの空間では無意味でしかない。 兎輪は王の髪を撫でて、そのまま両手を頬に移す。 「兎輪……」 愛しそうに兎輪の名前を響かせる王。 兎輪の手に自身の手も重ね合わせ、小さくキスをする。 もう、諦めるしかない。 「――王、私は――――……」 、
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