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小さく、狭い――
小さな世界の中で王は大きな存在だった。
かっこよくて、私と違った目立って愛される人。
それでも彼は私ばかり見つめた。
そして、私はこのかっこいい幼なじみの特別というポジションに少なからずの優越感を抱いていた。
だから私を熱心に見つめる瞳をみつめた。
私の名前を呼ぶ、唇。
「――愛しい、俺の兎輪」
眠ったフリをした私の髪を撫でる。
優しく、温もりを感じるそれはとても好きだった。
だけど、その声と言葉に込められた想いには答えられない。
きっと、彼は私を
逃がさない。
心まで、掴んで。
束縛して、離さない。
その想いが消えることはない。
自惚れではないが自信はあった。
王は私に依存しすぎだ。
いつからだろう?
考えてももう遅いのに。
彼の傍にいた私が一番悪いのだから。
これは、私への終止符。
、
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