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すると橋本は
「こいつね、結構ゴト師の中でも変わった奴でね。」
橋本の説明によると、水口はゴト師を一つのビジネスとして考えていました。
一般のゴト師は、個人的にゴトをする専門家と、その筋が元締めとなるシノギのグループの2つが在りました。
水口は、後者グループにマニュアル化して、道具とセットで販売すると言う物でした。
私は水口のビジネスに興味を覚えました。
ビジネスの相手が問題でしたが、その発想は大変面白い物でした。
当時はまだインターネットも充分に普及しておらず、その筋の人にゴトの道具を提供する人間も少なく、彼らは暴力的な手段で、店から金を取る方法が主たる手口でした。
しかし私には、まだこの話に自分のメリットを見出せませんでした。
すると橋本は私に向かい 「こいつに力を貸したら、ゴトの手口を全部知る事になるでしょう?」
私は橋本の考えている事が、うっすら見えて来ました。
橋本はパチンコ店に対して不信感持っていました。
自分が作った機械を使い、多額の利益を得ていながら、警察からのプレッシャーを橋本達に負わせる店の体質に嫌気を感じていました。
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