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海の匂いが香る道…。
私は小さい頃から、この海と一緒に大きくなった。
春なのに、風が少し冷たい…。桜の花びらか潮風に舞落ちて、海岸線に消えていく…。
桜の季節は、今でも苦手…。
祐樹を思い出す季節だから…。
記憶が過去に引き戻されてどこからか、あの日の会話が聞こえてくる…。
『琴音は、俺といて幸せか?』
『幸せだよ。祐樹がいればどんな未来だって幸せなんだから!』
あの頃の桜は、もっとピンク色で綺麗だったのにね…。
散りゆく桜の色は、薄く海の色に消されてしまった。
『祐樹…何で?』
左手の薬指に残るリングの後を見て、みるみる涙が溢れた…。
祐樹の面影が残る。
忘れるには、どうしたらいいんだろう…。
ねぇ、祐樹。
あなたは今、幸せ…?
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