芳野 綾織

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受話器を耳に近付けるとプッという小さな音がして回線が繋がる。 「もしもし…?」 『あ、アヤ!?ひっさしぶり!』 途端聞こえたのは可愛らしい女性の声。知らない声。 …多分、記憶を失う前の綾織の知り合いだと見て問題はないだろう。 「……ひさしぶり?」 『ほんっとひさしぶりぃ!半年ぐらい連絡取れなかったんだからぁ!なに、元気ぃ!?』 「半年…あぁ、うん ごめん 元気ですよ?」 『なになにぃ~アヤ喋り方チガーウ!』 「へ、そっかなぁ~」 突然言われた言葉に心臓がピクリと跳ねた。ヘラヘラとしたちせとかいう人の口調に合わせてみる。 『そっだよー!第一ぃ こんな時間に電話したら真っ先にキレてたじゃん』 「え、そうなの?」 『なにそれー!』 ケタケタと笑うちせとかいう人。多分なんだろう…酔ってるんじゃないか?
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