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『それよりさぁ~大学いつからくるのぉ~?』
少しだけ鼻に掛かったような声。
その言葉に、声が詰まった。
「あー…実は」
休学するの。
そう言うのに戸惑いはなかった。だけど少しだけ哀しい気持ち。
これは消えた綾織の気持ち?
えー!?という馬鹿でかい声が受話器からして思わず耳を遠ざけた。
それでもなんでぇなんでぇという声が受話器から漏れている所を見ると、相手は相当大きな声なのだろう。
「ちょっと、声大きいよ。とにかく詳しい事はまた後日!」
そう言って一方的に電話を切る。ついでに電源も落とす。更にはケータイをそこらに投げた。…機種変、した方がいい気がする。
ふぅと小さく息を吐いてそのまま倒れ混む。
ほんの数分前までは自分の体温で温もっていたはずのそれ。
「…冷たい」
遮光カーテンから漏れる光が薄暗い部屋の唯一の聖域だと主張するかの様で不意に嫌気がさした。
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