真実と記憶

16/54
35521人が本棚に入れています
本棚に追加
/617ページ
  俺が情けなく眉毛を下げて下を向くと、火炎さんはため息を吐く。 「……ごめん、怒っている訳ではないんだ。ただ、レイキック君は謎が多すぎるから」 「……ッ」 「……古代魔法を使ってしまったから、『城』へ行かなければいけないよ」 「城って……!」 今まで静かに聴いていたケイトが声を上げた。 『城』と言えば、示すものは一つだけ。 「“王の城”……。やはり、ですか……」 雪平が呟いた。 王の城は、“中央”と呼ばれるティアルーナ国の真ん中に位置する地域に存在している。 中央にはギルドの本部もあるし、何より、魔法の源といわれる『魔法樹』がある。 王の許可若しくは、賢者の認定無しに古代魔法を発動させたんだ、城に呼ばれて当然だろう。 しかし、王の城へ入城するなど、一般人にはあり得ないことだ。  
/617ページ

最初のコメントを投稿しよう!