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俺は無意識の内に腕につけている腕時計に触れた。父さんから雪平に、そして十二年の月日を跨いで俺に贈られた腕時計だ。
「今のは古文で一番有名な文」
どの遺跡にも、遺された書物にも、必ず一番最初に書かれている文章。
Ysol ix ull boii ax en gheirl
――流れる水と暖かな火の恵み
Ux ia moidy, ox ia oxweeh e piaru
――風は戦ぎ、木は根をおろす
Reid hxost ull abel ex e aufie
――背負う闇と共に土を踏み
Hxist u boiesll audustin.
――光に照らされ立ち止まる。
「俺は古文を完全に理解しているので……、古代魔法が使えます」
「なッ……」
火炎さんが声を漏らす。
他の皆、奏以外は絶句。木村先生は何か言いたいが言葉にならないのか、口をパクパクとさせている。
「でも古文はまだ遺跡や書物の半分以上が解読中で……、だから、古代魔法も研究中のはず……何故!」
「ッ!」
驚愕で段々と声が大きくなっていったた火炎さんの問掛けに、俺は肩をビクッと跳ねさせるだけで、答えることは出来なかった。
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