バ睦ケ月モ縫ノ

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『白化』が完全に終了した縫の右半身から、膨大な力が片翼へ流れ込む。 間違いなく今までの中でも最大規模で、破壊と消滅のエネルギーが、一本の翼に集約されている。 これで全てを決めると、誰が語らずとも分かる縫の意志を、ゆかりは受け取った。 あれを止める? ──不可。 あれを避ける? ──無理。 ならば差し出そう。この能力を犠牲にしよう。 全力を込めた一撃で届かないなら、全霊を投げ売って応えるのみ。 アヴェンジャー <十倍返し>はどの道、もう無くなる。本当ならあの時破壊されていた。今のゆかりはその効果をだましだまし遅らせているに過ぎない。 もう導火線に火はついている。起爆が早まるだけで、失う結末は変わらない。 ならば最期くらい、一瞬で散りゆく花火のごとく、華々しく飾ろう。臨界を越えて、限界を突き破ろう。     オーバードライブ 一度きりの超稼動を実現させろ。 あれを打倒する力を得るにはそれしかない。 「────────っが……!!! ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」 黒い塵の塊と化した体の、最も奥深くにある、最後の枷を解く。
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