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隣りにいる憔悴した桜の姿が、僕にはとても信じられなかった。
「もうおわる……」
自分に言い聞かせるように呟いた。
右手には、桜がぬれぎぬを着せられた殺人事件の捜査の記録。
あの刑事だけは桜の無実を知っていた。
「犯人がわかったんだ……」
消え入りそうな僕の言葉に、桜は泣きはらした顔をあげた。
「……誰なの……?」
「……今、その奥にいる」
僕は事務室にひとつだけの扉を指差した。
全てを終わらすために……
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