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「じゃあ、行ってきます」
「いってらっしゃい。桜ちゃんによろしくね」
「うん、わかった」
雪など降らず、ただ寒いだけの都会の冬。
外にでると途端に風が吹き、寒さがコートを突き抜けて直に僕の肌を突き刺した。
足踏みをしながら、マフラーをまき直す。
郊外の住宅街は年末と言えども静かで、通りには僕しかいない。
マフラーを寒さをしのげるように何重にも首に巻き付けながらも、僕の足は無意識の内に幼馴染みの家へと向かっていた。
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