第一話:不遇の少年

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全ての始まりは四ヶ月前の真夏日、【クロノス】の入り口扉に貼ってある貼り紙から始まった。 『君、うちでバイトしたいの?』 『はい。コーヒーとかについてはよく分かんないですけど……』 『ハハハッ、やってもらうのは掃除や皿洗いぐらいだから大丈夫だよ』 『……あの、なんか採用みたいなノリじゃないですか?』 『ん?うちは先着順だよ。だから君は採用決定』 『はぁ……』 『ところで君、名前は?』 『十文字悠です。漢数字の十に文字、悠遠の悠で十文字悠』 『ほほぉ、勇ましくも優しい名前だね。渾名(あだな)はクロスかな?』 『えっ……?』 『いやね、私の旧友に似たような奴がいてね、渾名はクロスだったよ。ちなみに明日は四時半に来れるかな?』 『まぁ……』 『それじゃあ明日の四時半にここで待っているよ』
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