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かけ寄る椎名の眼中には絶望的な光景が広がった。
捜査員の手に持っていたのは人の腕。
しかし、微かな希望を求め椎名はその場に到着した。
「椎名さんこれに見覚えは……」
上がった腕は左腕だったその手首には結婚指輪と腕時計がはめ込まれていた。
椎名はその腕時計を外すと文字盤の裏を見た。
そこには
『中田英之定年祝い記念品』
「間違いありません……これは中田先輩の腕です」
そう言うと椎名は後ろを向き、肩を震わせパトカーへと戻っていった。
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