シャーリーテンプル

3/4

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
月兎はジンジャエール入りの方が甘くてお気に入りだったみたいだけど、俺的にはレモネード入りの方が好きだった。 今でも、店や家で喉が乾くとチャチャッと作って飲んでるし。 そんなシャーリーテンプルがきっかけで、俺がこの仕事を選んだと言っても過言じゃないくらい、思い出のあるカクテルだ。 最初は親父の店に並ぶ色んな色をしたリキュール類を見て楽しむしか出来なかった。 理由はもちろん、まだガキんちょだった俺は酒を飲んではいけないからだ。 高校を卒業してからは、親父の店を頻繁に手伝うようになり、シェイカーの振り方を親父のを見様見真似で覚え、思い付きで適当に選んだリキュールで作る俺オリジナルのカクテルをお客さんに飲んでみてもらったりしていた。 その頃には思い出のシャーリーテンプルも自分で作れるようになっていたが、「なぁ~んか親父のと違うんだよなぁ~…」と思い、聞いてみた事があった。そしたら親父のやつ「愛が足りないんだよ」とかボケかました事言うから、とりあえず華麗にスルーしといたけど… まぁ、ちゃんとした答えは自分で見つけたし。 同じ分量のリキュールを使うんでも、入れる順番、混ぜる回数によって、微妙になんだけど味に違いが生まれる。 それを見つける為に、一日中シャーリーテンプルばっかり作り続けの飲み続けで、月兎にも飲み比べに付き合ってもらっての俺的大検証の賜物なんだけどね。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加