鉈は持っていません

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「登校の際にぶつかった人が同じ学校でさらに同じクラスなんて……なんだか今日は不思議な日ですね」 口元に手をやってクスッと笑いかける竜宮さん。 ありそうで無かった仕草なので、ある意味で新鮮だ。 「あはは……まあ、確かに……」 そんな会話をしながら、昇降口を渡り、二年D組の教室を目指した。 教室に入ると、ちらほらともう人がいて、知ってる顔や知らない顔など、新学期らしい光景が見られた。 「じゃあ、また」 俺は竜宮さんと別れ、自分の席についた。 途端、去年も同じクラスだった俺の友人、内田がやってきた。 「徹、死ね」 第一声がそれじゃあ流石に堪えますぜ内田よぉ……。 「何だ内田?変な物でも食ったか?」 「いいから死ね。そして土に還って微生物やら細菌やらに分解されて動物たちの食物連鎖に貢献しやがれ」 キレるぞコラ。
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