†prologue†

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『はい、OKです。  オールOKです!!  お疲れ様でした』 「ありがとうございました!!」 カフを下ろし、ヘッドフォンを外す。 「…ふーぅ」 ホッとして、 ようやく緊張感が抜けていく。 久しぶりの 本当に久しぶりに感じた、心地好い緊張感。 目の前には、マイク。 そのマイクをただただ見つめる。 「…帰って、これたんだ…」 深呼吸。 深く深く、呼吸する。 自然と笑顔になれる。 シナリオを手にスタジオを出ると 制作スタッフさんが笑顔で迎えてくれた。 『お疲れ様でしたー。  やー、凄いですね。  びっくりしましたよ』 「え、何ですか?  私何かやっちゃいました?」 『違う違う。  声ですよ、声。  本当に同じ人が出してる声なのかって  思いましたよー。  2役、全く別人でした!!』 「本当ですか?  ありがとうございますっ。」 『それに…』 「はい?」 『10年もブランクがあるなんて…  全く感じない  信じられないですよ』 ディレクターが笑う。 ライターさんも。 凄いね、凄いね 頑張ってきたんですね、と笑ってくれる。
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