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凄くなんか、ない。
全然凄くない。
私は…壊れていたんだから。
ボロボロに壊れて
もう二度と、この場所には立てないと思ってた。
それでもここまで来れたのは…
支えてくれた人達がいたから。
みんながいてくれたから、
私は今ここにいる。
「いえ、そんな事ないです。
0からのスタートです。」
『新たな気持ちで、
新たなスタートですね』
「はいっ!
よろしくお願いします。」
『こちらこそですよ。
新しい作品も準備してるんで、
今後も期待してます』
「ありがとうございます。
精一杯頑張ります!!」
『これからは、毎回オーディションで
ノラさんの声が聞けるわけですね』
「はい、もちろんです」
『楽しみにしてます』
「ありがとうございます。
合格目指して頑張ります」
『また、お会いしましょう』
「はい、是非。
ありがとうございました」
演技の話や新作の話をしながらも、
優しい笑顔で沢山の言葉をくれた。
必ず再会しましょうと
約束の握手をして、別れる。
手を振ってくれた二人を、
姿が見えなくなるまで見送った。
ここから。
もう一度、始めるんだ。
以前使っていた名前は、
敢えて使うのをやめた。
新しい名前。
新しい私で、もう一度始めたいから。
スタートラインは
いつだって
誰だって
自分の中にある。
自分で引く事が出来る。
人は、
いつだってスタート出来る。
いくつになっても。
どんな時でも。
諦めなければ、
信じ続けていれば
歩き続けていれば、
何度だって。
そう、何度だって。
スタート出来る。
私の夢は、終わらない。
もう一度、ここから。
この場所から。
空を見上げたら
果てしない青が広がっていた。
深呼吸。
目を閉じる。
『位置について…』
微かな声が聞こえる。
『よーい…』
強い風が吹き抜けてく
『ドン!』
目を開けて強い風を感じながら、
私は歩き出した。
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