居場所

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私はお転婆な女の子だった。 毎日、どろどろになるまで男の子達とサッカーや鬼ごっこ、ドッチボールなど体を動かす遊びをし明るく誰とでも仲良くなれる子だった。   弟が小学校入学し、私はお母さん代わり。 給食のエプロン、上靴、たいそう服など学校の物を洗いアイロンをあてる。   風邪をひき熱を出せば病院にも連れて行く。       ある年の夏休み。   「お父さん、仕事でしばらく帰ってこれないから。高木のおばちゃんところに、おまえらの事頼んだから。ちゃんと言う事聞けよ?」   高木のおばちゃんは、私の家の下の人。 私がまだ赤ちゃんだった頃からの付き合いで、母と仲がよかった。   5つ上のお兄ちゃんがいて、本当の兄弟の様に私達の面倒をみてくれた。   家が上と下なので、ご飯の時は高木のおばちゃんちに行き、寝る時は自分ちに帰りねる。   弟は、2階建ての家みたいだと喜んでた。     弟が熱を出した。 病院に連れて行かなきゃ・・・ 保険証を探してる時、近所のおばちゃんが私を呼んだ。     「優花ちゃん。ちょっとおばちゃん、買い物行きたいからシロちゃん見ててくれへんかな?見てくれたらお菓子買ったるから。」   そう言って、マルチーズのシロを連れて来た。     「ごめんなさい。陽斗が風邪ひいて熱あるねん・・・。病院に連れていかなあかんから無理です。」   そう私が言うと、   「なんやの!いつもお菓子買ったってるのに!可愛くない!ほんまあんたは子供らしくないねんから!!」     そう怒鳴り帰って行った。   私がしっかりしなきゃいけないから。 陽斗の事ちゃんとみてあげなきゃ・・・     高学年になる頃には、父親が留守の間、弟と二人での生活にも慣れてきた。   といっても、まだまだ親に甘えたい。     が、本音だ。
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