怪しいテクニック

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で、今日の朝。 まぁ、そういう訳で、決意も新たにスタートした月曜日だったんだけど…。 いきなり挫折。 昨日ラクになった、と思えたのは、錯覚? それとも、アルコールのせい? 『はは…』 またもや込みあげる溜め息を、自嘲で誤魔化す。 意識し始めると、溜め息をつく機会ってのは、案外多い。 ナメてた。これで会社に行ったら、どれだけのガマンを強いられる事だろう? 答えがシンプルだからって、実践は簡単にはいかないようになってる。 世の中、甘くはない。 …アケミの顔が脳裏に浮かんだ。 アイツの前で溜め息ついたら、どんな顔して嘲うだろう? そう思った時突然、恐怖がオレを支配した。 アケミだけじゃ、ないかもしれない! みんな、クチに出さないだけで、本当はオレの事、陰で嘲ってるのかも…。 震えが止まらない! …たったこれだけの事で精神的に追い込まれるなんて、思いもしなかった。 人に見られるのが怖い。 人と会話するのが、怖い。 会社に行くなんて、とてもできそうにない…。 『♪♪♪♪♪…』 …!! いきなり鳴り始めたメール着信音に、心臓を鷲掴みにされた。 …アケミからかもしれない。そう思うと、画面みるのが怖い。 それでもなんとか携帯を手にとり、震える指でメールを開いた。 どこかの広告メールらしい。 『やめたい事ありませんか?』 なんてタイミングだ! いつもなら、読まずに削除するんだけど、今日のオレはこのタイトルを無視できなかった。 本文は…。
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