ワタシ

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伊原と一緒に入浴して、ワタシはベッドに潜り込む。 ワタシにとって至福の時を迎える。 初めて伊原と出会った夜を思い出しながら、ワタシは伊原の手を握り、安らかな眠りに落ちて行く。 初めて伊原に呼ばれた夜、ワタシはクスリで酔い、ハイな気分で部屋に入った。 伊原はワタシを、悲しそうな目で見ていた。 「オパ(お兄さん)元気ないね。どうかした?」 と、伊原に抱きついた。 「俺は伊原や。お前の兄貴と違うで」 優しく、しかしキッパリと伊原はワタシに言い、ワタシの目を見た。 ワタシを呼ぶ男は、例外なくワタシを人間扱いしない。 部屋に入ったとたんに、ワタシの身体を値踏みして、直ぐに服を脱がせる。 払う金の元を取ろうとし、入浴もそこそこに、ベッドに入ろうとする。 会話を楽しみたいのなら、日本人の女を呼ぶ。 韓国人のワタシを呼ぶのは、性欲処理の為だった。 ワタシも充分に理解している。 別に嫌いな男と話をしたくも無いし、変な同情もして欲しいとも思わない。 ワタシは10年間この仕事をしている。 ワタシ達を男が優しくするのは、ベッドで少しでもサービスして欲しいからだ。
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