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「ほんま、寒いと何もしたあなくなる」
結局、そういう風にしか返せない
どうして俺はいつもこうなんだろう
後悔しながらカウンターの席に
腰掛ける彼にコーヒーカップを渡した。
「テッちゃん、あれ、まだ弾いとんの」
受け取ったハイドはキッチンから
カウンターへ俺が移動したのを
見計らって部屋の隅に
目をやりながら質問してくる。
ハイドの視線を辿ってゆけば
そこにはギターとベースが
二本仲良く立てかけてあって。
昔、俺とそして向かいの部屋で
眠る彼が弾いていた 楽器。
「あぁ、あれね たまーに弾くで」
でも最近は手元が狂って弾くに
弾けんのよね、と付け足して。
コーヒーをすすりながらそう答えれぱ
ハイドは椅子からのそりと立ち上がり、
「ふうん」と一人納得しながら
俺達の楽器の前に立ち止まった。
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